確かに、引き算は足し算よりも強い!「引き算する勇気」(岩崎邦彦著)

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引き算は足し算に勝る。こんなことを言うと、頭の上に大きな「?マーク」が浮かび上がっている人がいるかもしれません。「足す」はポジティブイメージ、「引く」はネガティブイメージ。「足す」と「引く」には、そんなイメージがあるからでしょうか。「引く力」「引く価値」「シンプル」・・・。確かに、この本を読んでみると会社を強くするのは、「引き算」だということがよくわかります。

実は、この本を読むのは2回目です。最初は、単行本として発行されたものを2016年に読んでいます。もう、6年前のことです。当時読んでいた本は、友人の手に渡りました。つい先日、文庫本として発行されたものを書店で見かけましたので、また読みたくなり、購入して読んでみました。前回の6年前に読んだとき以上に、その書かれている内容に納得し、「引き算」の重要性を再認識させられました。

この本の副題に“会社を強くする逆転発想”とあります。今まさに逆転発想で、会社経営に「引き算」を取り入れることが大切だと思います。商材も、お客さんも、過去のしがらみも、既得権も、前例の踏襲も、今の状態からどんどん「引く」。その「引き算」こそが、企業の生き残る道だと思います。しかし、人は知らず知らずのうちに、「足し算の罠」にはまってしまいます。恥ずかしながら、私もその中の一人です。「引く」ことを頭の中では十分理解できているのに、その単に「引く」ことが、いかに葛藤の伴うものか。勇気のいることか。難しいことか。つくづく感じます。それを、どこの経営者もそう簡単には出来ないからこそ、それを成し遂げた後に、“他社との差別化”というご褒美がもらえるのだと思います。

とにかく、この本には、「引き算は足し算に勝る」ことがギッシリと詰まっています。どれも納得させられるものばかりです。自社のビジネスを見直したい経営者はもちろんですが、特に、小規模企業の経営者には、経営の参考になる1冊だと思います。