以下の文章は、この本に書かれている一節です。まずは、お読みください。
“これからの時代、商品の品質や機能を伝えるよりも、経営者や販売担当者の生きざま、思いや情熱を伝えることのほうが重要な時代になりました。つまり、「モノ」より「コト」、「コト」より「ヒト」を伝える時代です。お客さんの立場からすると、商品はどこから買っても同じで、たいして差がないと感じています。売る側の立場からすると、この商品は革新的なものである、他社との差別化も明確であると思っています。しかし、お客さんから見るとそれほど差のあるものではない。だったら、同じような「モノ」や効果のない「コト」なら、知らない人よりも知っている「ヒト」から買いたいと思うことのほうが多いのです。”
(「あなたのところから買いたいとお客に言われる小さな会社」(フォレスト出版/佐藤元相著)」より引用)
営業経験のある方はおわかりでしょうけど、何か「モノ」や「サービス」を販売する仕事をしていると、自分が提示した「モノ」を買っていただいているのではなく、営業担当である「自分自身」を買っていただいていると感じることがあります。
「〇〇君て、この商品を扱ってたよね?」
「どこで買っても同じでしょ?」
「じゃあ、それをお願い」
なんて、商品説明もろくに受けずに買ってくれるお客さん、それがこのケースです。
もちろん、このケースは、営業担当とお客さんの間には、十分な人間関係、信頼関係が出来上がっていることが前提です。そのお客さんは、商品の詳しい説明は、実際に買ってから受けるわけです。
そこは営業担当を信じて、その営業担当という「ヒト」を買っているわけなので、大きな問題に発展することはありません。また、こういったケースは、何もセールスもしていないのに、相手から「買うから持ってきて」なんて言われるので、その営業担当も購入に至るまでのストレスを感じません。ストレスどころか、営業が楽しく感じる瞬間でもあります。
人は知っている人から「モノ」を買う。
人は売り込まれることが嫌い。
自分自身がお客さんの立場なら、そう思うのに、いざ、売る側に立つと、一生懸命、その商品を説明し、売ることにやっきになってしまう。不思議なもんですよね?この「あなたのところから買いたいとお客に言われる小さな会社」は、2012年の8月に発行された本ですが、10年以上経った今でも、参考になります。